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目時 直人; 芳賀 芳範; 山本 悦嗣; 松田 雅昌*
Journal of the Physical Society of Japan, 87(11), p.114712_1 - 114712_9, 2018/11
被引用回数:3 パーセンタイル:29(Physics, Multidisciplinary)ウラン金属間化合物UPdAlは、四価イオンUの局在5()電子状態を伴うことを中性子散乱による結晶場スペクトルから明らかにした。この電子状態は、最近研究した電子数と結晶構造が同じ希土類参照物質PrPdAlと同一であり、c軸方向に大きな磁気モーメントを伴う平べったい形状の軌道が、縦長の体心正方晶の持つ二次元結晶場ポテンシャルによって安定化されていることがわかった。ウランの5電子が金属状態において局在的な性格を持つことは非常に珍しい発見であり、やはり、結晶構造の特殊性に起因する。ウランが四価イオンであることは、三価のNpPdAlとの間に価数転移が存在することを意味し、この価数転移が結晶格子の異常や電気抵抗の増加によって観察されることを明らかにした。また、価数が不安定な領域で超伝導や磁気転移、重い電子系状態など多体効果の存在を示す数多くの現象が生じていることがわかった。
臼田 重和; 桜井 聡; 平田 勝; 梅澤 弘一
Sep. Sci. Technol., 25(11-12), p.1225 - 1237, 1990/00
被引用回数:1 パーセンタイル:27.36(Chemistry, Multidisciplinary)硝酸溶液中の強塩基性陰イオン交換樹脂に強固に吸着しているプルトニウムを溶離するため、硝酸-ヨウ化水素酸混合溶液を用いてプルトニウムの脱着挙動を調べた。プルトニウムの脱着は、混合酸溶液中の硝酸濃度が高くなる程増加した。しかし、ヨウ化水素酸は樹脂中で硝酸濃度とともに分解する傾向にあり、2.5Mを超えると溶離が困難であった。この混合酸溶出液中のプルトニウムの酸化状態は、3価及び4価の混合であった。硝酸溶液中の陰イオン交換樹脂に吸着しているプルトニウムを効果的に溶離するには、1MHNO-0.1MHI混合溶液が溶離液として適当であった。以上の結果をふまえ、ミクロ量及びマクロ量双方に対するプルトニウムの精製法を確立した。
中嶋 悟
日本電子ニュース, 27(1-2), p.12 - 17, 1987/02
天然の岩石の構成物質である鉱物については、X線マイクロアナライザーによって数mオーダーでの元素分布が知られるようになったが、今後は、これらの元素がどのような状態で存在するかについての情報も必要とされる。その1つの分析法として、鉱物の顕微赤外分光法は、非破壊で鉱物の微小領域の結晶構造や水の存在状態、多原子価元素の価数等の情報が得られ、鉱物の生成条件や2次的変化などの推定に有効である。フーリエ変換型顕微赤外分光計を用いて、天然の鉱物の20m領域での状態分析を試みた。岩石の割れ目(水みち)周辺での鉱物の水和現象などの研究は、岩石中での物質移動に関与した水の役割を明らかにできよう。また、地層中に存在する微量天然有機物のキャラクタリゼーションは、酸化還元条件に敏感な元素の還元による固定を調べる上で重要である。これらの研究は、顕微赤外分光法で可能となろう。
工藤 博司; 奥野 健二
Proc.Int.Symp.on Fusion Reactor Blanket and Fuel Cycle Technology, p.56 - 59, 1987/00
酸化リチウム(LiO)からのトリチウム放出機構の解明を目的として、LiO結晶中におけるトリチウムの存在状態、拡散能および溶解度を調べた。 中性子照射したLiO結晶中でのトリチウムは、初めT(67~77%),T(23~31%)およびT(2%)の状態で存在するが、300C以上での過熱によりT状態のトリチウムは全てTに変換することが判明した。Tの存在は、照射に伴って結晶中に生成するF中心との強い相互作用によるものと解釈される。300C以上の温度領域におけるトリチウム放出速度は、Tの拡散速度に支配されることを確認した。トリチウムは最終的に、結晶表面でのOTの解離過程を経て、TOの化学形で気相に放出される。 トリチウムガスのLiO結晶への溶解はSieverts則に従うことが判明し、その溶融熱は24.30.9kJ/molであった。